東京高等裁判所 昭和30年(う)523号 判決
被告人 突川清
〔抄 録〕
弁護人の論旨第一点。
原審において国選弁護人が選任されていて訴訟費用が生じているのに原判決が被告人に対し刑の言渡をし乍らこれの負担を命じていないことは所論のとおりである。
しかし、刑事訴訟法第一八一条第一項但書の規定によれば刑の言渡をしたときでも、被告人が貧困であつて訴訟費用を納付することができないことが明らかである場合にはこれを負担させないことができるのであつて、この場合には所論のように判文に法条を掲げて被告人に対し訴訟費用を負担させない旨を明示するのがより妥当ではあるが、しかし法文にこれを明示すべき旨の規定がないのであるから、訴訟費用の負担を命ずる場合と異り、その負担を命じない旨特に判文にこれを明示しなければならないものとは解せられない。要するに訴訟費用を負担せしめる旨の判示のない以上これを負担せしめなかつたことに帰するのである。原判決はこの見解に従つたものと解せられ格別法令適用の誤も、理由にくいちがいの存するものとも認められない。論旨は理由がない。
註 本件破棄は量刑不当。